申告は白色?青色?
個人事業者の方で、確定申告を白色で提出している方への提案です。
今年(令和3年)の申告を青色申告にしませんか。青色申告の特典は色々ありますが、一番伝えたい結論を先に書きます。
青色申告の特典で効果の高いのは特別控除ですが、それは儲けが出なければ使えません。一方儲けが出ない時に使える特典が『純損失の繰越控除』です。
本来なら青色申告にするための申請(青色申告承認申請書と言います)は3月15日までですが、今年は延長措置がありコロナウイルスの影響があった人もない人も、4月15 16日まで延長されています。(3月28日追記です。当初4月16日と記載していたのは15日の誤りです。申し訳ございません。)
まだ間に合います。いったん出せば毎年出す必要はありません。
令和2年に続き、令和3年もコロナの影響で、店を開けても売上は伸びないかもしれない。売上が伸びなくても家賃、人件費、仕入の支払いは発生するので令和3年は赤字かもしれない。
『純損失の繰越控除』というのは、この赤字で未来の儲け(所得)を低くできるのです。
未来と言ってもずっと先まではできませんが、令和3年中の赤字(損失)を令和4年から6年の儲け(所得)から差し引きします。
令和3年に300万円の赤字(損失)が出たら、令和4年の儲け(所得)からその分を引けるのです。そうしたら儲け(所得)の金額が低くなって、令和4年の税金が安くなります。
令和4年に引き切れない場合は、令和5年に持ち越せます。それでも引き切れなければ令和6年まで持ち越しです。
引き算のルールはありますが、イメージとしてはこのようなものです。
もし前年に青色申告をしていて税金を払っていたなら、今回の申告の赤字と相殺して、前年に支払った税金を赤字の程度に応じて返してもらえる『純損失の繰戻し』という特典も青色申告にはあります。(前年も当年も青色申告での必要あり)
もう一つ青色申告の大きな特典は先にも書いたとおり、『青色申告特別控除』です。記帳と申告の仕方によって10万円控除、55万円控除、65万円控除があります。
では65万円控除ってどんな効果でしょうか。
事業主の皆様は経費は漏れなくつけたいと考えていると思います。取引先との飲食やタクシー代となど、つい忘れてしまいそうな支払いでも、しっかり領収書は取っておくようにしていることと思います。
この経費にする領収書が年間に65万円分あるというのと同じ効果が、青色申告特別控除です。残念ながら税金が65万円安くなるわけではないですが、経費と同じように収入から差し引いて儲け(所得)を下げる効果があります。
ところで、それだけの特典をもらうために必要な記帳と申告の仕方は難しいのでしょうか。
今は安くて(年間1万円から)使いやすい会計ソフトがいくつかあるのでそれらを使えば青色申告に必要とされる発生主義、複式簿記、貸借対照表に対応することができます。
このような専門用語を聞くとゾッとしますが、本格的な勉強は必要ありません。FacebookやInstagramに投稿することと同じようにチャレンジしてみませんか。
青色申告承認申請書を出す時にはまだ帳簿付けに取り掛かっていなくても、それは問題ではありません。
65万円控除を受けようと努力したけど、複式簿記と貸借対照表はできなかったという時には10万円控除に格下げすればいいです。白色申告も記帳義務があります。同じように記帳しているなら控除を受けた方が断然いいんじゃないかと思います。
ただし、10万円、55万円、65万円控除の条件として、期限内申告というのがありますので、申告は期限内に提出する必要があります。
青色申告には他にも税金を安くする特典があります。
申請ができるのは一年の中で毎年3月15日まで(令和3年は4月15日まで)だけです。
もし今まで青色申告が気になっているなら今年からスタートしてみてはいかがでしょうか。
写真は徳之島伊仙町
素敵な石垣です。